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超高圧275Kv、長距離径間の延線作業

鉄塔や電柱の設置場所や規模に関わらずパイロットロープ延線作業は架線作業の最初で重要な作業です。その中でも超高圧275Kv、径間平均約400メートルで最大径間約470メートルの大規模送電線を複数径間:総延長約2200メートルに渡りドローンにてパイロットロープ延線作業を行いました。以下に作業内容をダイジェストでご紹介します。
①275Kv鉄塔その1。通常、鉄塔の構造材としてL型のアングルで構成されますが規模も巨大になると鉄塔自体の重量もあるため主要構造材も鉄丸柱で構成されます。鉄塔高は約60メートル前後です。
②275Kv鉄塔その2。画像右端にいる作業員と比較しても分かるとおり275Kv鉄塔主脚の太さが垣間見れます。因みに左側に隣の鉄塔全景が写っていますがこれでも150メートル以上離れたところに建っています。それだけ巨大です。
③275Kv鉄塔その3。通常送電線は鉄塔から磁器製の「がいし」と言う絶縁物を介して架線されます。当然電圧が高くなれば絶縁能力も高い「がいし」が必要になります。275Kvクラスになると「がいし」の大きさも巨大かつ多層になります。作業員と比較してもその大きさが分かります。
④275Kv鉄塔その4。「がいし」全景。とても一人じゃ抱えられません。
⑤作業前にドローンの制御系のチェックと各種センサのキャリブレーション、フライトプランの再考及び飛行経路の確認等々飛行前点検を入念に行います。因みにパイロットロープを段階的に左側に写っているロープに引き換えて最終的に送電線に引き換えます。
⑥最長径間約470メートル先にある鉄塔の眺め。あれだけ巨大な鉄塔も500メートル近く離れると多少小さく見えます。逆に言うとそれだけ径間があると言う事です。この様に400メートル級の複数径間をドローン延線しました。
⑦いざ作業開始。回数を重ねても毎度緊張します。
⑧ドローンの内蔵カメラによるFPV画像その1。300メートル以上飛行するとまず目視での操縦は不可能(100メートルでも厳しい)。当然FPVによる飛行になります。
⑨ドローンの内蔵カメラによるFPV画像その2。400メートル以上離れた鉄塔頂上で待機するキャッチ側の作業員が見えてきました。このFPV画像ではあまり緊張感が有りませんが作業員は60メートルの高さで待機(!!)しています。
⑨ドローンの内蔵カメラによるFPV画像その3。ここからは塔上作業員の指示に従いパイロットロープをキャッチャーに引き渡します。しかしキャッチャーの稼動領域は大きく取れない為操縦者の方でピンポイントに引き渡すようにします。この高度になると地上とは別方向(当然風速も違う)の風が吹いている為、滅茶苦茶緊張する場面です。
⑩パイロットロープ引渡し後、あとは離陸地点に向けて引き返します。大体1径間辺りの延線時間は5~8分くらいです。(往復で最長10分くらい)
今回のドローン延線作業は送電容量や鉄塔の規模も桁違いに大きくそれに伴い径間距離や鉄塔高も長大になる為、今までのドローン延線とは異なりかなりハードルの高いミッションでした。今回の延線作業をするにあたって現地の飛行発着場所と飛行ルートの確認、現地の気象状況や平面地図上では分からない土地の丘陵/傾斜状況の確認等々、事前に現地入りして入念に調査し、作業従事者とのミーティングも念入りに行いました。また実際の飛行に関しても今までの作業実績の2倍以上を飛行することもありパイロットロープ自体の強度や軽さ、果ては枝木等の引っかかり難さ等素材からの見直しや機体に取り付ける延線用部材の再設計を実施しました。更に実際の飛行に関してはFPVによる飛行距離も長大になる為、ゴルフ場をお借りして500メートル以上のFPV及びパイロットロープ延線の事前飛行訓練を実施しオペレータと地上監視員の育成を図ると共に長距離飛行時の問題点(特に風向き)を徹底的に検証し本番に備えました。とはいえ実際は季節の変わり目による突然の強風や雨天により待機や順延を余儀無くされ最短時間で終了すると言う訳には行きませんでした。机上のシミュレーションをいくら実施しても自然の気まぐれには翻弄されると言う教訓を得ましたが結果的に事故もなく無事に延線作業を終了する事ができました。
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